Mラボ課題解決ラボ 2014

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県内外13大学、18ゼミ、約240名の学生が参加、20チームに分かれて兵庫県内10企業から出された課題について調査研究を行いました。
その成果発表の公開プレゼン大会を10月25日(土)神戸ハーバーランドスペースシアターにて開催し、優秀チームを表彰しました。

審査結果

グランプリ

立命館大学 経営学部 金ゼミ(研究企業:ファミリア)
「「ファミくる」~リポジショニングの構築~」

顧客つなぐ贈答品提案
長期的な来店サイクル作る

金ゼミはファミリアに「老舗子ども服メーカーであるファミリアの認知度向上に向けたコミュニケーション戦略」を提案した。
神戸、大阪、京都、草津でそれぞれ約100人にヒアリングして企業イメージを調査。他ブランドに比べ「贈答品として贈りたい、もらいたい」ブランドとして高く認知されていることを踏まえ「ファミくる」と名づけたマーケティング戦略を立案した。「くる」は「ファミリアに来るサイクル」をつくるとともに「子どもが生まれた奇跡=ミラクル」の思いを込めた。

ターゲットは0~2歳児を持つ親で、ファミリアを知らない人。ファミリアの贈答品の中に「名前付きの前掛け」がもらえる招待券を入れ、来店を促す。来店時には大学生カメラマンを使った家族撮影会を行う。写真と親のメッセージカードを「タイムカプセルカード」にし、将来の日時指定で届くようにする。その結果、来店客が好感を抱き、自身も贈答品としてファミリアを選ぶサイクルができ、それが「長期的に伝統的かつ個性的な企業の市場地位を獲得することにつながる」とした。

ゼミ代表・飯田瑞生さんの話

4カ所で100人ずつヒアリングするのは大変だったが、その結果、私たちの考えているサイクルが認知度向上につながると確信し、自信が持てた。社員の方と接していて、中小企業のアットホームなところ、判断の速さにも触れることができ、中小企業の魅力も実感した。

ファミリア代表取締役社長岡崎忠彦氏の話

若さあふれる取り組みと感性あるアイデアに感動した。特に〝ファミくる〟の「くる」を奇跡のミラクルと結びつけたところは強く心に響いた。きょうの二つのゼミのプレゼンを、社員にも聞かせる機会をつくりたい。われわれが100年企業を目指すには若い力が必要。今後もMラボなどを通して学生とのつながりを大切にしたい。

準グランプリ

関西大学 商学部 西岡ゼミ(研究企業:レック)
「冠婚葬祭業ビジネスの構造転換」

薄利多売の強み生かす

少人数・低価格のブライダルを手掛けるレックの事業について、大人数・高価格の他社と競合するため「式を挙げたくても挙げられない人に低価格でアットホームな挙式を」のサービスコンセプトを掲げていると分析した上で、オペレーションとコスト構造の分析から「薄利多売のビジネスモデル」と位置づけた。
一方で、社員へのヒアリングを行い、こだわりのある顧客が求める打ち合わせ回数の増加、列席者の増加が、レックがこれまで提供してきたサービスのキャパシティーを超え、顧客、社員の不満につながるおそれがあると指摘。レックが持つ小規模サービスの強みからぶれることなく、誕生日、記念日、プロポーズを低価格で演出するために「アニバーサリー事業部の創出」を提案した。

3位

関西学院大学 商学部 川端ゼミ(研究企業:ケンミン食品)
「若年層市場をターゲットとしたビーフン・マーケティングの研究」

若者向けに包装を一新

米から作られるビーフンを製造するケンミン食品だが、同社がこれまでマーケティング対象としてきた主婦層ばかりでは市場の成長が期待できないため、新たに若年層の市場の育成を提案した。
関西学院大学の学生を対象に試食会とアンケートを実施。味については高い評価を得たものの「パッケージが古臭い」との指摘を多く受けたため、量やカロリーを分かりやすく写真で見せ、配色なども変えた新たなパッケージを考えた。
また、販売チャンネルとして若者の利用が多い〝駅ナカ〟に着目し、季節感のあるキャンペーンがその都度展開できるようにシール型のポップ広告の活用も提案。さらに耳目を集める手法として「米」へんに「面」のつくりを配した造語を「こめん」と呼ばせるネーミングも提案した。

審査員特別賞

兵庫県立大学 経営学部 山口ゼミ(研究企業:植垣米菓)
「植垣米菓の東南アジアでの市場開拓」

日本の食材で海外進出狙う

植垣米菓が東南アジアに進出したいという海外戦略を持っていることを知り、その中でも今後の成長力が期待されるインドネシアに着目。実際に現地に足を運んでヒアリングを行った。
イスラム教徒の多い国で食ビジネスを行うには、国ごとに「ハラール」という認証を受けることが必要とされているが、調査の結果、同国で輸入品1パッケージごとに義務付けられている「MLナンバー」で代用できることを確認。販売場所については富裕層や中間富裕層の多いジャカルタを選択。製品については現地で試食会を開き、はっきりした味付けが好きな現地の人の嗜好(しこう)を踏まえ、黒糖やワサビを使った商品を小分けのパッケージにし「日本のおかき」のネーミングで350円の価格で売ることを提案した。

Mラボ課題解決ラボ2014 審査員

審査委員長

神戸大学大学院経営学研究科 教授

平野 光俊

早稲田大学商学部卒、神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(経営学)。ジャスコ(現イオン)で店長、カンパニー人事部長、本社経営企画室次長を歴任。2002年から神戸大学大学院経営学研究科准教授。2006年から同教授。専攻は人的資源管理,経営組織。行政,経済団体,および多くの民間企業と共同研究を進めている。主著は『日本型人事管理』『多様な人材のマネジメント』『現代人的資源管理』(いずれも2014年, 中央経済社)など。
審査委員

流通科学大学商学部 教授

清水 信年

神戸大学経営学部卒業、同大学院経営学研究科博士課程修了、博士(商学)。奈良大学社会学部専任講師、流通科学大学商学部専任講師・准教授を経て2011年より現職。同年から、小売業での人材育成を目的として新設された商学部リテールマネジメントコース長を務める。専門はマーケティング論、製品開発論、リテール・マネジメント論。
審査委員

大丸松坂屋百貨店 執行役員大丸神戸店長

柚木 和代

京都精華大学美術学部卒。1983年に大丸入社。90年から3年間、初の女性駐在員としてパリで勤務。2004年、芦屋店長。08年、株式会社大丸松坂屋百貨店で初の女性執行役員となり、大丸札幌店長を任され、地区最大規模の売り上げの店舗に育てた。12年から大丸神戸店で初の女性店長に就任。

審査委員

電通 電通総研メディアイノベーション研究部主幹

北原 利行

マスメディアやコミュニケーションの研究、メディア企業のコンサルティング、広告および関連市場・業界動向調査などの業務に従事。「日本の広告費」および「情報メディア白書」担当。「情報イノベーター~共創社会のリーダーたち~」(共著、1999年 講談社)等、著書・論文多数。東京工業大学大学院非常勤講師、立教大学大学院兼任講師、経済産業省研究会専門委員、(財)知的財産研究所専門委員等を歴任。JICA研修講師など講師・講演多数。
審査委員

兵庫県産業労働部長

石井 孝一

中央大学法学部卒業。1978年兵庫県庁入庁。大学課長、地域協働局長、県民文化局長として、全国初の4年制3大学の統合による県立大学の開設、県芸術文化センターネーミングライツ導入、横尾忠則現代美術館の建築等に深く関わる。県立美術館副館長時代には過去最高入館者数(105万人)を達成。但馬県民局長時代には地域の賑わいづくりに取り組む。現在、県産業労働部長として経済・雇用の活性化、国際交流、観光振興等の施策に携わる。
審査委員

みなと銀行 地域戦略部長

森田 成敏

早稲田大学商学部卒業。1986年太陽神戸銀行入行。三井住友銀行人事部採用グループ上席部長代理、公共・金融法人部(神戸)部長等を経て2014年4月より現職。今年度より新設された地域戦略部で、中期計画の基本方針「地域経済への更なる貢献」を果たすために、「産官学金連携の推進」、「地域の成長分野に対する支援強化」に取り組む。
審査委員

未来教育設計 代表取締役

吉住 裕子

(株)住友銀行、(株)JDL、三喜産業(株)等に勤務した後、1999年に独立し、2005年に㈲未来教育設計を設立。日本初のプレインキュベーション施設の立ち上げや経済産業省後援ドリームゲートの初代プロデューサーを務めるなど、新規事業立ち上げ支援を専門とする中小企業診断士。アントレプレナーシップをベースにした就業教育やビジネス人財育成分野でも活躍中。