Mラボ課題解決ラボ 2015

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県内外10大学、16ゼミ、約240名の学生が参加、20チームに分かれて兵庫県内10企業から出された課題について調査研究を行いました。
その成果発表の公開プレゼン大会を10月24日(土)神戸ハーバーランドスペースシアターにて開催し、優秀チームを表彰しました。

審査結果

グランプリ

兵庫県立大経営学部 西岡正ゼミ(研究企業:HNA神戸)
「神戸ベイシェラトンホテル&タワーズマリン・リゾート化計画」

グループ一体で新プラン
立地の課題を強みに転換

神戸・六甲アイランドに立地し、ホテルニューアワジグループ(洲本市)が経営母体のホテル。2014年に自家源泉の温泉をオープンして話題を呼び、インバウンド(訪日観光客)を取り込むなど稼働は好調だ。
西岡ゼミは、ホテルへのインタビューや宿泊体験による〝ユーザー目線での調査〟から「近畿圏外での知名度不足」「神戸市内のホテルに比べ市街地から遠い」ことを課題として抽出。これを解消するためには「分かりやすいコンセプトでの差別化が必要」とし「神戸で一番ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に近いマリン・リゾート」を掲げた。

具体的には、USJに近いことを積極的に宣伝し、近接する新西宮ヨットハーバーとグループ資源である洲本のマリーナ施設を活用したマリンアクティビティーやクルーズ体験で非日常感を演出できると提案。モデルプランとして、初日はUSJ観光の後、ベイシェラトンに宿泊し、2日目は洲本までクルージングしてグループホテルに宿泊し、3日目に淡路島を観光する案を提示。「グループの総合力を生かし、新たな視点で神戸、淡路島観光ルートを生み出したい」と思いを述べた。

ゼミ代表・野条怜大奈(のじょうれおな)さんの話

課題は与えられたものではなかったので、2、3歩先取りして取り組むべきことを自分たちで考え出した。当初からUSJの近さに着目していたが、中間発表会でマリーナ施設の存在を知り、これと結び付けることで他のホテルではまねのできない、このホテルならではのプランにまとめあげることができた

木下学・ホテルニューアワジ神戸代表取締役社長の話

今回の提案は、われわれが目指してきた『日本らしさ』『ファミリーに優しい』『少し足を伸ばしてでも行きたくなる近郊リゾート』に加え、今後取り組んで行きたいテーマになる。グランプリ受賞は、学生の皆さんがさまざまなデータや資料に加え、実際に宿泊してホテルを肌で感じて得た『生きた1次情報』に基づいたことが大きな要因だと思う

準グランプリ

愛知大経営学部 太田幸治ゼミ(研究企業:井上食品)
「さきいかキムチ名古屋めし化計画」

「家飲み」そそる商品名に

おつまみ・珍味メーカー「井上食品」の主力商品「さきいかキムチ」を「味が濃くて甘辛い食品文化を持つ名古屋でどのように売るか」をテーマにして「さきいかキムチ名古屋めし化計画」を提案した。
アンケートから顧客の6割が家飲みをしており、うち9割強がつまみを食べていることが分かった。そこで「仕事帰りのお疲れ呑(の)んべぇ」をターゲットに、4P=プロダクト(製品)、プライス(値段)、プレース(場所)、プロモーション(宣伝)を再定義。仕事の疲れを取るイメージを出すため「にんにく香る!呑んべぇのピリッと甘辛ダレさきいか」を商品名とする▽売り場は総菜売り場の「たこわさ」と「ピリ辛こんにゃく」の隣に置く▽お値打ち感を出すため「噛(か)めば噛むほどでら呑める」のコピーを添えた紙を売り場に置く―と提案した。

3位

神戸大経営学部 南知惠子ゼミ(研究企業:バリュープランニング)
「新規顧客獲得へ向けて―消費者行動の視点から」

新ブランドの構築を提案

履き心地と機能性を追求した女性用ストレッチパンツ「B―Three(ビー・スリー)」はバリュープランニングのヒット商品だが、試着した同ゼミ生たちは「買いたいと思わなかった」との疑問からスタート。アンケートの結果、興味を持てなかった人は「デザインがいま一つ」「年配の人が履くイメージ」と考えていることが分かった。
そこで若い世代に購入してもらうために、高い技術力とおしゃれなイメージを組み合わせた、働くアラサー向けブランド「B―Confident(ビー・コンフィデント)」を新たに作ることを提案した。
特にビジュアルマーチャンダイジングの視点から、店舗改革の必要性を指摘。「働く女性の癒やし」をテーマに、店を「おしゃれなコーディネートの場」とし、カジュアル、フォーマルのシーンごとに分かりやすく商品分類することを提案した。

審査員特別賞

関西学院大総合政策学部 安煕錫ゼミ
(研究企業:カネテツデリカフーズ)
「カネテツの新市場開拓戦略~台湾での販売促進・PR」

海外の日本食人気に着目

国内で練り物製品の市場が縮小する中、SWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析に基づき「強み」である独自技術と「機会」である海外の日本食人気に着目。「ほぼカニ」「ほぼホタテ」を親日の台湾市場で販売することを提案した。
現地を訪ねてインタビュー調査し、味に高い評価が得られたことも発表。4P分析のうち「プロモーション」については、パッケージのデザインで日本製を強調▽現地で高い普及率を誇るフェイスブックを活用し「つけだれナンバーワン選手権」の人気投票を実施▽投票者に抽選で「自分で選べる詰め合わせセット」をプレゼントする―などを提案。歳暮や中元で贈ってもらう機会を増やし、広く商品認知につなげ、新市場を開拓するサイクルを構築することを提案した。

Mラボ課題解決ラボ2015 審査員

審査委員長

神戸大学大学院経営学研究科 教授

原 拓志

神戸大学経営学部卒。企業勤務を経て1993年神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。神戸大学経営学部助手、助教授を経て2004年より現職。2001年エディンバラ大学でPhD取得。専攻は工業経営、技術経営。日本経営学会理事、日本ベンチャー学会理事、組織学会評議員。主著はInnovation in the Pharmaceutical Industry(2003, Edward Elgar)など。
審査委員

流通科学大学商学部 教授

清水 信年

神戸大学経営学部卒業、同大学院経営学研究科博士課程修了、博士(商学)。奈良大学社会学部専任講師、流通科学大学商学部専任講師・准教授を経て2011年より現職。同年から、小売業での人材育成を目的として新設された商学部リテールマネジメントコース長を務める。専門はマーケティング論、製品開発論、リテール・マネジメント論。
審査委員

アシックス グローバル広報室長

吉川 美奈子

1991年ドイツ銀行入行。99年よりP&Gでマーケティング、広報、CSRに従事。P&Gシンガポールでアジア・オセアニア地域のヘルスケアBrand PRマネージャーを経て、2011年アシックスへ。グローバル法務・コンプライアンス統括部CSR・サステナビリティ部長を経て15年より現職。

審査委員

大丸松坂屋百貨店 常務執行役員 博多大丸代表取締役社長

柚木 和代

京都精華大学美術学部卒。1983年に大丸入社。90年から3年間、初の女性駐在員としてパリで勤務。2004年、芦屋店長。08年、大丸松坂屋百貨店で初の女性執行役員となり、大丸札幌店長を任され、地区最大規模の売り上げの店舗に育てた。12年、大丸神戸店で初の女性店長となり、13年度の大丸各店の売上高で同店を4年ぶりにトップに導いた。15年、社長特命事項担当、博多大丸顧問を経て現職。
審査委員

兵庫県 産業労働部長

石井 孝一

中央大学法学部卒業。1978年兵庫県庁入庁。大学課長、地域協働局長、県民文化局長として、全国初の4年制3大学の統合による県立大学の開設、県芸術文化センターネーミングライツ導入、横尾忠則現代美術館の建築等に深く関わる。県立美術館副館長時代には過去最高入館者数(105万人)を達成。但馬県民局長時代には地域の賑わいづくりに取り組む。現在、県産業労働部長として経済・雇用の活性化、国際交流、観光振興等の施策に携わる。
審査委員

フジッコ 取締役人事総務部長

山田 勝重

1978年(株)富士昆布(現フジッコ(株))入社。1986年商品開発課(現開発本部)、2009年フジコン食品(株)代表取締役、2012年フジッコ(株)開発本部長。食品製造現場で佃煮昆布を中心に昆布加工品の生産・改善に6年余り携わった後、商品開発を中心に23年余りR&Dと事業開発に係わる。その後、2年半子会社に出向した後、本社取締役開発本部長を経て現職に至る。
審査委員

未来教育設計 代表取締役

吉住 裕子

(株)住友銀行、(株)JDL、三喜産業(株)等に勤務した後、1999年に独立し、2005年に㈲未来教育設計を設立。日本初のプレインキュベーション施設の立ち上げや経済産業省後援ドリームゲートの初代プロデューサーを務めるなど、新規事業立ち上げ支援を専門とする中小企業診断士。アントレプレナーシップをベースにした就業教育やビジネス人財育成分野でも活躍中。