地方が面白くなる大学ゼミツアー~豊岡編~

開催報告

地方に拠点を置き事業を展開する企業や地方創生に取り組む自治体の思いや活動に触れ、地域の魅力や可能性を体感し、発信する、「地方が面白くなる大学ゼミツアー~豊岡編~」を2017年9月29日に開催しました。神戸大学経営学部南ゼミ、兵庫県立大学山口ゼミ、西岡ゼミの3、4年生計20人が参加し、旅館・ホテル業の西村屋、鞄メーカーの由利、豊岡市役所を訪ね、レポートにしてまとめました!

株式会社西村屋

  • 代表取締役社長

    西村 総一郎 氏

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    訪日観光客の数が順調に増えており、観光業は今後伸びしろがある産業だ。宿泊・飲食業は地域への経済効果が高く、地方を救う数少ない産業の一つでもある。
    城崎温泉は大正14年の北但大震災で一帯が焼失したが、その後7つの外湯を復活するとともに、まち全体を一つの温泉旅館と捉え、共存共栄のまちづくりを行ってきた。外湯めぐりを核に「日本一ゆかたの似合うまち」としてまち並みを売ることに力を入れている。
    当社ではリピーター=ファン作りとして本館、招月庭ともに旅館らしい部屋食のサービスを継続している。お客様の多くは人とかかわることを望まれているからだ。ITを活用し、過去に来られたお客様との相性などを判断してシフトを決めている。
    本館の宿泊客のうち17%は外国人でうち3分の1が欧州から来ている。さらに進めるべく2016年9月にパリオフィスを開設した。また世界でもごく限られたホテルしか加盟できないルレ・エ・シャト―にも加盟した。「変わらないために変わる」を掲げ、進化しようとしている。

    団体概要 株式会社西村屋は、城崎温泉に「西村屋本館」(34室)と「西村屋ホテル招月庭」(98室)を運営し、年間10万人の宿泊客を受け入れている。「リピーター=ファン作り」と「新しいマーケットの開拓」を掲げ、特に欧州を中心としたインバウンド誘致を強化している。
    Webサイト http://www.nishimuraya.ne.jp/

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株式会社由利

  • 代表取締役

    由利 昇三郎 氏

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    20年ほど前は輸入品との競合が激しく、生産現場は高齢化が進んでいた。若い人を採用するにはビジョンが必要と考え「製造業から創造業へ」を打ち出した。豊岡鞄の業界はOEMが主体だが、社長に就任した12年前に「ARTPHERE」(アートフィアー)というブランドを立ち上げた。不良品を出せばブランドの信頼はすぐに地に堕ちる。全数を検品し、どの箇所でどのような不良が出たのかデータを取って改善に生かし、不良品率を0.007%にまで抑えている。
    10年後に皮革の輸入関税が撤廃されると、欧州の高級ブランド鞄が今より35%ほど安く買えるようになる。それに対抗するには自社のブランドをさらに強くし、自社で直接売る店を作るしかない。その取り組みの一つとして岡山県伊原市のデニム生地産地とコラボした鞄を作り、年内に大阪の百貨店で販売する仕掛けを整えた。「ARTPHERE」についてはニューヨーク、ラスベガスへ売り込みをかけている。これをきっちりと売り続けブランドを確立したい。

    団体概要 1990年代、輸入品に押され元気を失いかけた豊岡のカバン産業が息を吹き返している。その代表格が由利だ。「製造業から創造業へ」というビジョンを掲げ、「ARTPHERE」をはじめとする独自のブランドを確立し、世界展開を目指そうとしている。
    Webサイト http://www.yurikk.com/

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豊岡市役所

  • 豊岡市 環境経済部 エコバレー推進課参事

    柳沢 和男 氏

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    豊岡市の現在の人口と2040年に予測される人口とを比べると、65歳以上はほぼ変わらないが、働き盛りの世代(20~64歳)が半分ほどに減る。豊岡市には大学がなく高校卒業後に多くが転出し、大学卒業後に35%程度しか戻ってこない。大学を出てから戻ってきてもらい豊岡に残る比率を2025年には50%まで戻す目標を掲げている。目指すべき方向は「豊岡に暮らす価値、誇り(ローカル)」と、「世界でも通用する存在感(グローバル)」だ。
    城崎温泉に城崎国際アートセンターを開設し、世界のアーティストに長期滞在してもらい、成果を世界に発信している。コウノトリの野生復帰の取り組みから生まれたコウノトリ育む農法からできた米はアメリカに輸出されている。地場産業を未来へとつなぐためかばんの専門学校を開いた。また、近畿最古の芝居小屋、出石永楽館を復活、歌舞伎をまちの顔にしている。
    地方は貧しくてつまらないと私たち自身も思い込んできた。大阪、神戸と競争するのではなく豊岡らしい道を進んでいきたい。

    団体概要 豊岡市の現在の人口は約8万6千人だが、2040年には5万7千人にまで減少すると予測されている。働き盛りの年齢層を呼び戻すためにはまちの魅力を再認識してもらう必要があると考え「ローカルアンドグローバルシティ」を打ち出し、取り組みを進めている。
    Webサイト http://www.city.toyooka.lg.jp/

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