Mラボ -地域企業と大学生のマッチングラボラトリー-
課題解決ラボ2023

審査結果

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兵庫県内の企業と大学生の就職マッチングを様々な事業を通して行う『Mラボ』の中核事業『課題解決ラボ』(主催:神戸新聞社 後援:兵庫県中小企業団体中央会)の公開プレゼン大会を、12月2日(土)、神戸大学にて開催しました。

『課題解決ラボ』は、新商品開発やマーケティング戦略など県内企業が抱える様々な経営課題と社会課題について、大学生がゼミの専門性をいかし、学生の視点で解決策を提案する事業です。

兵庫県内5企業から出された課題について、調査・研究を進めてきた14チーム(8大学、12ゼミ、約150名の学生)が研究成果を発表し、優秀チームを表彰しました。

開催概要

開催日時 12月2日(土)10時~17時
開催場所 神戸大学経営学研究科本館102教室(神戸市灘区六甲台町2-1)
アクセスマップ
当日の流れ 各チーム10分でプレゼンを行い、審査員により評価が行われ、優秀チームが発表されます。
審査基準 審査は、「①研究課題の定義、②研究成果の魅力、③情報収集力、④論理性・一貫性、
⑤プレゼンテーション力を基準に評価されます。
詳しくはこちらをご覧ください。

審査結果

グランプリ

関西学院大学・西本ゼミ
(研究企業:株式会社TAT)

研究テーマ

(T)手先から (A)明日へつながる (T)ちょっといいこと

不要品活用して四方良し

TATからは「市場リーダーとして社会的配慮をしながら、ネイルサロンの新規顧客を増やしたい」という課題をもらった。現状の女性のサロン利用率は25%であり、サロン未経験者の中で利用を検討したことのある人を加えて31.8%にまで向上させることを目標とした。4人に1人から、3人に1人の世界を作り出すということだ。新たな1人になれる顧客のペルソナを考えた。23歳女性。ふだんは自分で塗るポリッシュネイルを使っているが、はがれやすいので週3回塗らなければならず面倒だ。サロンに行きたいと思うが、店が多すぎて迷う。ちなみにポリッシュネイルは20本以上持っているが、実際に使うのは5本だけ。使わないものは捨てられずにいるが固まってしまう。同じように迷子ポリッシュを持っている人はたくさんいるようだ。
そんな人たちに提案するのが「ポイポイポリッシュ」だ。迷子ポリッシュを5本以上投入してガチャを回すと、QRコードとパスをゲット。LINE友達になってパスコードを入れるとサロンで各種メニューを利用できる割引クーポンを入手でき、GPS情報をもとに近いサロンを教えてくれる仕組みだ。回収したポリッシュネイルは薄め液を利用すれば再利用できるので、ネイルスクールで学ぶネイリストの卵の練習用に寄付する。顧客にとっては上質な顧客体験を、サロンにとっては新顧客の獲得を、TATにとっては収益を、加えてネイリスト育成にもつながる四方良しの提案だ。

実現したいプランに感謝
株式会社TAT 髙野芳樹社長の話

ネイルサロン利用率の向上という弊社の解決すべき課題に対して、新規顧客を獲得できるネイルサロン、ネイルサロン未体験生活者、ネイリストを目指す学生、それらの課題を解決できる弊社、四方善の課題解決のプランが見事でした。更には業界の課題でもあるサステナビリティ要素も加味されており、素晴らしいプランでした。投資費用次第ではあるが採用させてもらって実現したいプランでした。関西学院大学西本ゼミの皆様の熱意と努力に感謝したい。

Mラボの切り口が勉強に
ゼミ長・山田寛太さん(3回生)の話

社会課題の解決とどう両立させるかというMラボならではの切り口が非常に勉強になった。「ポイポイポリッシュ」のアイデアはゼミの女子学生がネイルに関する困りごとの実体験を話し合う中で出てきた。オンラインのアンケートでも迷子ポリッシュを持つ人が多いという確証が得ることができた。プレゼンではネイルのことを知らない人でもわかりやすく表現することに努めた。昨年はゼミの先輩が優勝したので2連覇できほっとしている。

準グランプリ

神戸大学・森村ゼミ
(研究企業:キング醸造株式会社)

研究テーマ

醸造粕を用いたキング醸造ブランドの再生

働く女性向けに“温活チョコ”

キング醸造から主力商品のみりんや酒の製造の際に生成する醸造粕を再利用できないかいう相談があった。そこで、醸造粕を用いて新商品を開発し、①ブランドのリブランディング、②女性の働きやすさ向上を通してSDGsを達成することを目指した。酒粕は長期摂取するほど体温の上昇効果が大きい食品であることをふまえ、冷え性の悩みを多く持つ20~30代の働く女性をターゲットとした。職場での冷え性の悩みと食生活についての潜在的なニーズをインタビューで探ったところ、「上司に意見しづらくエアコンの寒さに耐える人が多い」「音が出ず、手が汚れない一口サイズのチョコを好む」ことがわかった。
そこで酒粕をチョコで包んだチョコ「リーズ(英語で酒粕の意味)」を考案した。一口サイズで仕事中でも手軽に摂取でき、即効性を加えるためカプサイシンも混ぜた。消費者の購買行動プロセスを、認知・監視・検索・購入・共有の5段階に分け、プロモーション施策も考えた。認知を高めるため、夏場の電車のクーラー近くに「チョコで日常に温活を」というコピーの吊り広告を置く。冬場の購入では温かい飲料の近くに売場を設け陳列場所にも工夫を凝らす。

3位

関西大学・西岡ゼミ
(研究企業:まねき食品株式会社)

研究テーマ

姫路からの挑戦~弁当と伝統のイノベーション~

シンガポールの富裕層焦点

外で買ってきたものを家などで食べる「中食」市場は縮小傾向にある。持続的な企業であり続けるためには、既存市場だけに固執するのではなく、そこで培った力を生かして新しい市場に進出し、成長し続ける両利きの経営が必要だ。海外の人に日本食の評価を尋ねたところ、まねき食品のお弁当のように彩りやバランスが意識された食事への評価が高いことがわかった。
そこで成長著しいアジア諸国の中でも高所得者層の多いシンガポールの30~40代共働き世代をターゲットに定めた。この世代は労働力人口に占める割合が4割と高く、健康への支出額が高い。器にはわっぱを使い、彩り豊かな食材を詰め、姫路の四季をイメージしたパッケージとする。提供価格は輸送費、税などを考慮に入れ1人当たり4千~5千円とする。販売場所は、ターゲット層が多く暮らすセントラルエリアの中でも富裕層向けで日本食材コーナーもあるCSフレッシュというスーパーを考えた。パッケージを通して姫路の情報も伝えることで「まねき=姫路」のイメージが浸透する。多国籍国家であるシンガポールで広がれば世界に認知が広がり、姫路に外国人を呼ぶことにもつながる。

審査員特別賞

立命館大学・金ゼミ
(研究企業:兵庫ヤクルト販売株式会社)

研究テーマ

『1000フェス』~ヤクルトが明るい未来を導きます~

学園祭でキャンペーン

ヤクルト1000を1日5万本販売するためにどんな施策を展開するかという課題が与えられた。23年6月時点の販売本数は36,626本なので13,374本増やす必要がある。ヤクルト1000を同じように訪問販売をしている競合他社の乳酸菌飲料と比較した結果をふまえ、訪問販売に抵抗のある人が多く、価値が伝わっていないとの仮説を立てた。
アンケートの結果、学生が最も訪問販売に抵抗がないことがわかり潜在顧客になると考えた。そこで県内の大学の学園祭でヤクルト1000の魅力を伝える「1000フェス」の開催を提案する。フェスではヤクルトを使った料理体験をしてもらうほか訪問販売の良さを伝えるチラシも配布する。学生にインスタグラムを使ってレシピを投稿してもらうキャンペーンを展開することで認知を図る。効果を予測した結果39,451人の学生が閲覧すれば、目標の販売本数に達する。

審査委員プロフィール

  • 審査委員長

    神戸大学大学院経営学研究科 教授

    南 知惠子

    神戸大学文学部を卒業後、ミシガン州立大学にて修士号、神戸大学にて博士号(商学)を取得。横浜市立大学商学部助教授を経て、2004年より現職。
    神戸大学キャリアセンター長、学長補佐(キャリア支援担当)を経て、2020年から2021年度まで、神戸大学学域長、経営学研究科長、経営学部長を歴任。2022年4月よりDX・リカレント教育担当学長補佐を兼務。同年6月より現代経営学研究所理事長兼務。2023年1月より神戸大学リカレント教育推進室室長、同年4月より副学長(DX・リカレント教育担当)を兼務。
    専門は流通・マーケティング論。兵庫県、神戸市等の審議会委員、日本生産性本部顧客満足度指数開発顧問等を歴任。
    サービス開発に関する企業との共同研究多数。主要著書は、『サービス・イノベーション-価値共創と新技術導入-』(有斐閣、2014年、西岡健一との共著)、『製造業のサービス化戦略』(中央経済社、西岡健一との共著)など。

  • 審査委員

    神戸大学大学院経営学研究科 准教授

    吉田 満梨

    2009年 神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、首都大学東京都市教養学部助教、立命館大学経営学部准教授を経て、2021年より現職。
    専門は、マーケティング論で、特に新しい製品市場の形成プロセスに関心を持つ。
    主要著書に、『エフェクチュエーション:優れた起業家が実践する「5つの原則」』(共著、ダイヤモンド社)、『ビジネス三國志』(共著、プレジデント社)、『マーケティング・リフレーミング』(共著、有斐閣)、『デジタルワークシフト』(産学社)、訳書に『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』(碩学舎)など。

  • 審査委員

    大阪大学産業科学研究所 広報室 特任学術政策研究員

    大田 結

    学生時代よりCDジャケットデザインやミュージックビデオの制作などのクリエーティブ活動を行い、2005年にCM制作会社に入社。
    以降、CM音楽プロデュース・振付を中心に数々のCM制作に携わる。代表作は大阪環状線発車メロディ。第9回・第10回「沖縄国際映画祭 JIMOT CM COMPETITION」グランプリ受賞。
    2022年より大阪大学 産業科学研究所の特任学術制作研究員として広報業務に従事。

  • 審査委員

    有限会社未来教育設計 代表

    吉住 裕子

    (株)住友銀行、(株)JDL等に勤務した後、1999年に独立し、2005年に(有)未来教育設計を設立。
    事業者・団体の新規事業起ち上げを、戦略立案・資金調達・人財育成面から支援し、その挑戦と進化を応援する中小企業診断士。
    にしのみや起業家支援センターの起ち上げを手伝い、2022年度オープンするなど、地域特性に合った支援センターづくりに協力中。
    1級販売士。ITコーディネーター。農林水産省GIマーク(地理的表示)保護制度アドバイザー。